絶海に浮かぶ魚釣島の岩肌に荒々しく、くっきりと描かれた日の丸。それは日本の領土としての確固たる証しだった。
「国がやらないなら、都がやる」と東京都の石原慎太郎知事が打ち出した尖閣諸島(沖縄県石垣市)購入計画。その思いに呼応した都議会議員7人(民主党6人、無所属1人)が25日夜から丸1日かけて実施した尖閣諸島周辺視察に同行した。乗り組んだ漁船は、国境の島々まで約20メートルに迫った。
25日午後7時半、石垣島で出港を待つ漁船「第十一善幸丸」(長さ約14メートル、8・5トン)は海上保安庁の臨検を受けた。海上保安官は救難装備や乗船者名簿を確認し、「皆さんは船員見習いとして報告を受けている」。その言葉に、尖閣問題への国の微妙な姿勢がにじんだ。
船はまず魚釣島へ。出港して約8時間後の26日午前4時10分。漁船右舷の闇に、フラッシュを焚(た)いたような光が見えた。
尖閣諸島最大の島、魚釣島に設置された灯台だった。
海路は名嘉全正船長(54)が「こんな『ベタなぎ』はめったにない」というほどの好天に恵まれた。
空が白み始めた6時ごろ、島のなだらかな稜線(りょうせん)が姿を見せた。夜が明けるにつれ、紺碧(こんぺき)の海に緑をたたえた島が浮かび上がる。
山頂の濃い緑に反して、ふもとは草木が削り取られたようだ。かつて食用などで持ち込まれたヤギの食害だという。
南小島の浜辺には古い船が打ち上がったまま。カツオ節工場や住居の名残とみられる石垣もあり、かつて暮らした人々の息づかいが聞こえてきた。
青空を舞う海鳥の大群は、「鳥の楽園」を象徴していた。
南小島から北東約30キロ、米軍の射撃場に使われた久場島へ。荒れた姿を想像したが最も緑豊かだ。岩場のカツオドリが不思議そうにこちらを見る姿は観光地の潜在力を感じさせ、都の離島振興や環境保全の経験が生きるのは間違いなさそうだ。
自然の豊かさに目を奪われた一方で、帰途では台湾船とみられる船に遭遇した。久場島の南約50キロ。
船体には「財得興」とある。数十メートルまで迫って並走したが、船員の男5人はこちらを気に留める様子もなく、黙々と網を揚げていた。
(今村義丈)
★ 各写真はクリックすると拡大します ★




































