六本木ヒルズに「土壁の家」アートが出現

2013.09.21

六本木ヒルズのビル群を背に、インドの少数民族「サンタル族」の知恵を用いて建てられた家屋型のアート「珍客亭」=20日、東京都港区六本木(寺河内美奈撮影)

六本木ヒルズを背に、インドの少数民族「サンタル族」の知恵を用いて建てられた家屋型のアート「珍客亭」=20日、東京都港区六本木(寺河内美奈撮影)

インドの少数民族「サンタル族」の知恵を用いて建てられた家屋型のアート「珍客亭」の内部=20日、東京都港区六本木(寺河内美奈撮影)

サンタル族の女性が珍客亭の外壁に描いた壁画=20日、東京都港区六本木(寺河内美奈撮影)

 東京・六本木ヒルズの毛利庭園に20日、藁葺(わらぶ)き屋根と土壁でできた農村風の小屋が登場した。森美術館(六本木ヒルズ内)で21日から始まるアート展「六本木クロッシング2013展:アウト・オブ・ダウト」の出展作で、アーティストの岩田草平さん(34)らによる「珍客亭」。岩田さんと、彼が率いるアート集団「プロマイノリティ」に参加するインドの少数民族「サンタル族」の人々が3週間かけ制作した。

  ■きょうから展示 

 サンタル族は農耕民族。水道もガスもなく自然と共存して暮らす。岩田さんはインド留学中にサンタル族に出会い、世界観や人間性に魅せられた。「少数民族が伝え持つ素晴らしいセンスを現代に融合させ、作品として提示したい」と昨年、世界の少数民族と芸術家をアート活動を通じてつなぐ「プロマイノリティ」を結成した。

 都会のビル群の中に造られた「珍客亭」はその名の通り、周囲に広がる街並みと対極をなす。「現代社会の中心地である六本木ヒルズに、途上国で伝統的な暮らしを送るサンタル族という“珍客”の居場所を作ることが異文化への理解や豊かな世界につながる」と岩田さんは作品の意図を語る。

  ■震災後の意識

 六角柱型の小屋は40トンの土でできており、床はサンタル族の知恵にのっとり牛糞(ぎゅうふん)で塗られた。外壁にはバハ・キスクさん(43)が犬に洋服を着せて散歩する人など日本で見た光景を描いた。中でも初めて乗った飛行機の絵は、尾翼が尾のようにクルクルと巻き上がり、バハさんの眼を通せば、最新鋭の利器も生き物のように描かれている。

 かつてはコンビニエンスストアがないと暮らせなかったという岩田さんだが「不作や地下水が枯渇するたび生命が脅かされるサンタル族が不幸で、(便利な都会に暮らす)私たちのほうが幸せなのか。むしろ彼らは老人のケアや子育ての仕組みを完成させていて、僕たちより幸せに生きている」と話す。

 利便性を追求して築かれた既存のシステムへの疑問は、震災後、高まっている。「六本木クロッシング」は日本の現代アートを総覧して3年に一度開かれ、震災後は初めて。森美術館の片岡真実チーフ・キュレーターは「今の日本のアートを考えるとき、震災に触れないことは難しい。震災が我々の意識にどのように関わったのかを描き出したい」と話している。

サンタル族の女性が珍客亭の外壁に描いた壁画=20日、東京都港区六本木(寺河内美奈撮影)

六本木ヒルズのビル群を背に、インドの少数民族「サンタル族」の知恵を用いて建てられた家屋型のアート「珍客亭」。サンタル族の人々は「縁側」に座り、陽気に歌った=20日、東京都港区六本木(寺河内美奈撮影)

珍客亭を制作した「プロマイノリティ」のメンバーら。左から東晶子さん、植松かおりさん、岩田草平さん、井上優里さん=20日、東京都港区六本木(寺河内美奈撮影)

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