【鎌倉デイズ】 ろうそくの輪に希望を託す

 午前零時をまわると、さすがに冷える。新しい年もまた、日本にとって厳しい1年になるのだろうか。なるのだろうなあ…。除夜の鐘を聞きながら、半ばあきらめにも似た気分で石段をあがる。

 長谷観音で有名な鎌倉の長谷寺は、小高い山の裾野に広がる下境内と中腹に開かれた上境内に分かれている。その上境内にゆらゆらと並ぶカップ型ろうそくが心なしか冷えた体を温めるのだろうか。ろうそくの炎が描く円形模様に照らされて、少しずつ希望がわいてくる。

 いいこともきっと、試練と同じくらいたくさんあるだろう。腰をかがめ、カップに書かれた願い事の数々を見ていくと、そんな気分にもなってきた

(撮影:写真報道局 渡辺照明/文:編集委員 宮田一雄/SANKEI EXPRESS)

 長谷寺境内の万灯祈願会(まんとうきがんえ)は4年前に始まった。ろうそくが幾重にも重なる円形模様を描いているのは、観音堂の前の敷石のかたちに添って並べられているからだ。行事としての歴史は浅いが、ろうそくの輝きは希望を求める時代を象徴するかのようでもある。  長谷寺では「たくさんの方にろうそくを奉納していただき、行く年に感謝するとともに新しい年を迎えたい」と9月18日から参拝者に奉納を呼びかけている。カップに願い事と名前を書いて奉納されるろうそくの数は年々増えていき、今回は「万灯まではありませんが、約5000個」に達したという。  数が多いので大晦日(おおみそか)の夜の開門に先立って午後10時ごろから、ろうそくの点灯を始め、年が明けて午前2時ごろまで境内は参拝の人たちでにぎわった=平成23年1月1日、神奈川県鎌倉市長谷の長谷寺

ろうそくが照らしているのは新しい年への希望だろうか=平成23年1月1日、鎌倉市長谷の長谷寺

長谷寺 万灯供養会

新しい年への願いを込めたカップ型ろうそくの数は年々増えている=平成23年1月1日、鎌倉市長谷の長谷寺

長谷寺から徒歩で5分ほどの御霊(ごりょう)神社では、1日の午前零時から元旦祭が行われ、境内では初神楽(かぐら)が奉納された。地元に密着し、長い伝統に支えられた行事…であるように見えたが、禰宜(ねぎ)の小林章子さんによると「午前零時に元旦祭を行うようになったのは10年ほど前からです」という=平成23年1月1日、鎌倉市坂ノ下の御霊神社

元旦未明の暗がりの中行われた初神楽。最後に射祓(いはらい)が奉納された=平成23年1月1日、鎌倉市坂ノ下の御霊神社

年が明けると境内は、初詣に訪れた地元の人々で賑やかになった=平成23年1月1日、鎌倉市坂ノ下の御霊神社

小町にある本覚寺では、初えびすの福笹が提灯の灯りで夜空に浮いた=平成23年1月1日

初えびすの提灯が飾られた本覚寺の境内は華やかな雰囲気に包まれた=平成23年1月1日、鎌倉市小町

長谷寺の万灯祈願会は4年前、御霊神社の初神楽は10年前。21世紀に始まった行事が、もうすっかり定着して鎌倉に新たな魅力を加えていることは興味深い=平成23年1月1日、鎌倉市長谷の長谷寺

民家の軒先の枯れ枝に刺されたミカンに誘われたメジロ。春はすぐそこだ=平成23年1月、鎌倉市大町

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渡辺照明

渡辺照明

産経新聞写真報道局長。週末カメラマンとして、2007年から古都・鎌倉や湘南をテーマにした撮影をライフワークに。2008年2月からSANKEI EXPRESS紙上で鎌倉在住の記者と共に月一の連載を継続中。鎌倉の魅力に取りつかれている。

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