【奥多摩だより】堰のアオサギ (東京都調布市)


 今回は多摩川の中流域。奥多摩のタイトルには偽りがあるので、最初にお断りを。

 川崎市多摩区の拙宅近くに二ケ領上河原堰(にかりょうかみがわらぜき)があり、多摩川を横断する形で東京都調布市側まで続いている。調布側は改修工事が行われていて近づけなかったが、このほど終了したので見物に出かけた。

 堰の急流に、アオサギがいた。遡上(そじょう)の時期で魚が多く集まっている。一瞬水面を襲い、見事にアユを捕らえた。塩焼きにちょうどいいサイズだ。体を震わせて必死で逃れようとするが、もう決着はついている。アユの運命に同情しながらも、飲み込まれるまでシャッターを切り続けた。本日のネタだ、イッチョウ上がり! なんて思ってはいない。そこは、血も涙もないウチのデスクたちとの違いだ。

 ここには多くの鳥がやってくる。アオサギ、コサギ、カワウ、魚を狙う猛禽(もうきん)類のミサゴもいた。昨年の今頃、コアジサシが中州に営巣、100羽近く飛び交いにぎやかだった。小魚を狙ったダイビングや、ひながヨチヨチと歩く姿を撮影したら掲載してくれた。「増水は、ひなには津波のように恐ろしい。無事に巣立って…」と心配していたら、大雨が降って、中州はすっかり水を被ってしまった。ひなはもちろん親鳥の姿もなく、増水した流れが音を立てていた。もう少しで巣立ちだったのにと、心優しい小生は涙を流して、呆然(ぼうぜん)と立ちすくんだのだ。

 コアジサシは、カラスなどに襲われたら、その場所には営巣しないらしい。増水もそうだろう。今年は、ほんの数羽が姿を見せているだけだ。一直線に落下して、魚をくわえて飛び上がるのを見るのが、楽しみだったのだが。


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野村成次

野村成次

1951(昭和26)年生まれ。産経新聞東京、大阪の写真部長、臨海支局長を経て、写真報道局。休日はカメラを持って、奥多摩などの多摩川水系を散策している。

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