【鎌倉デイズ vol.21】 光る雨 輝く花

浴衣の帯に納涼うちわ。ホタルブクロが涼しげだ=2012年6月10日、神奈川県鎌倉市雪ノ下(渡辺照明撮影)

 アジサイほど目立つわけではないが、ホタルブクロも6月の鎌倉ではよく見かける花だ。お寺の境内の片隅や道ばたなどに控えめに咲いているので、気が付かずに通り過ぎてしまうことも多い。存在感が希薄なのはそのためだろう。
 細長い袋のようなかたちをした花の中にホタルを入れると、ちょうちんのように光る。それが名前の由来だといわれる。
 今年は鎌倉市観光協会恒例の納涼うちわに夏の夕暮れのホタルブクロが採用され、少し存在感がアップしそうだ。原画は鎌倉市在住の日本画家、福井良宏さんの作品。観光協会から夏らしい花の絵をと相談され、福井さんは「ホオズキかホタルブクロか。そのどちらかにしよう」と考えた。
 最終的にホタルブクロに決めたのは、うちわの色として、ホオズキの赤より青の方が涼しく感じられるのではないかとの理由からだった。

自宅のアトリエで作品に取り組む福井良宏さん=2012年6月10日、神奈川県鎌倉市大町(渡辺照明撮影)

 福井さんの自宅兼アトリエも緑に囲まれた谷戸の一画にある。いまの季節なら近くの住宅街を散歩するだけで道路脇の側溝の上をホタルが舞う。
 鎌倉で育った福井さんによると「川は何十年か前と比べ、どんどんきれいになっている。水量も多い」という。鎌倉市中心部を流れる滑川には昔よりコイが増えた。鎌倉市は川の浄化や清掃に力を入れてきたし、ホタルが舞う環境を大切にしたいという地元の人たちの思いもまた、強かったということだろう。
 鶴岡八幡宮では、今年も6月9日に蛍放生(ほたるほうじょう)祭が行われ、豊かな四季と生命の尊さを思いつつ境内の柳原神池(やないはらしんち)でホタルが放たれた。

鶴岡八幡宮境内の柳原神池では蛍放生祭が行われ、約1000匹のホタルが放たれた=2012年6月13日、神奈川県鎌倉市雪ノ下(渡辺照明撮影)

明月院ブルーに染まったアジサイを抱える花想い地蔵=2012年6月16日、鎌倉市山ノ内の明月院(渡辺照明撮影)

雨にぬれた山門につづく石段が、ひと雨ごとに色を深めるあじさいに縁取られた=2012年6月16日、鎌倉市山ノ内の明月院(渡辺照明撮影)

雨に打たれる浄智寺山門前のヤマアジサイ=2012年6月9日、神奈川県鎌倉市山ノ内

緑の深まる境内で、あいにくの雨に本堂の軒下で休む女性=2012年6月16日、鎌倉市大町の妙本寺

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渡辺照明

渡辺照明

産経新聞写真報道局長。週末カメラマンとして、2007年から古都・鎌倉や湘南をテーマにした撮影をライフワークに。2008年2月からSANKEI EXPRESS紙上で鎌倉在住の記者と共に月一の連載を継続中。鎌倉の魅力に取りつかれている。

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