アジサイほど目立つわけではないが、ホタルブクロも6月の鎌倉ではよく見かける花だ。お寺の境内の片隅や道ばたなどに控えめに咲いているので、気が付かずに通り過ぎてしまうことも多い。存在感が希薄なのはそのためだろう。
細長い袋のようなかたちをした花の中にホタルを入れると、ちょうちんのように光る。それが名前の由来だといわれる。
今年は鎌倉市観光協会恒例の納涼うちわに夏の夕暮れのホタルブクロが採用され、少し存在感がアップしそうだ。原画は鎌倉市在住の日本画家、福井良宏さんの作品。観光協会から夏らしい花の絵をと相談され、福井さんは「ホオズキかホタルブクロか。そのどちらかにしよう」と考えた。
最終的にホタルブクロに決めたのは、うちわの色として、ホオズキの赤より青の方が涼しく感じられるのではないかとの理由からだった。
福井さんの自宅兼アトリエも緑に囲まれた谷戸の一画にある。いまの季節なら近くの住宅街を散歩するだけで道路脇の側溝の上をホタルが舞う。
鎌倉で育った福井さんによると「川は何十年か前と比べ、どんどんきれいになっている。水量も多い」という。鎌倉市中心部を流れる滑川には昔よりコイが増えた。鎌倉市は川の浄化や清掃に力を入れてきたし、ホタルが舞う環境を大切にしたいという地元の人たちの思いもまた、強かったということだろう。
鶴岡八幡宮では、今年も6月9日に蛍放生(ほたるほうじょう)祭が行われ、豊かな四季と生命の尊さを思いつつ境内の柳原神池(やないはらしんち)でホタルが放たれた。

































