前回、ヤップデイが何なのかを書く前に終わらせてしまったので、今回は、ちゃんとヤップデイについて書いていくことにする。ヤップデイはヤップの伝統的踊りや習慣を忘れないようにするために、毎年開催されるようになった、お祭り(?)のようなものだ。今年も3月1日、2日両日に渡って、開催され、今回で42回目を迎えた。もちろん、海外からの観光客を誘致する目的もあるだろう。
このヤップデイには、ヤップ島本島からだけでなく、離島からも多くの人々が、その島々独特のダンスや伝統的習慣を披露するために、やってくる。
と言っても、多少の伝統衣装の違いはわかるものの、観光客レベルの知識では、どの村がどの衣装を身につけていて、どんな内容のダンスを踊っているのかまでは、はっきり言ってわからない。
それでも、男性はスーと呼ばれるふんどし、女性はオングと呼ばれる、カラフルなグラススカートの伝統衣装を身につけた人々が一同に集まって、その村々に伝統的に継承されているダンスをこんなに沢山、間近で見られるのは、このヤップデイだけとあって、最近では、世界各国から訪れる観光局の数も多いと聞く。
まあ、こんな話は「ヤップデイ」とか「ヤップダンス」とかで検索すれば、すぐに調べる事ができてしまうので、ここではヤップデイのときに自分が体験した不思議な出来事を書いておくことにする。信じるか信じないかは、読者であるあなたの判断にお任せします。
ある年のヤップデイ、私は少し前からヤップ入りしてダイビングの取材を行なっていた。しかし、ヤップデイ開催日が近づくにつれて、雲行きが怪しくなってきた。「これだと、当日は雨っぽいね」とダイビングガイドに言うと、そいつは、海の先にある黒雲を、目を細めてぼ〜っと見つめながら、「大丈夫、白魔術師たちが、雨降らないように、呪文となえてるから」と言うのだ。
「え?しろまじゅつし?お前何言ってるの」と思った。彼曰く、雨を降らせないために、ヤップデイ期間中、その白魔術師たちは、断水をしなければいけないのだそうだ。とりあえず「へ〜」と聞き流しておいた。
しかし、ヤップデイ初日、昨日までの悪天候はどこへやら、快晴で雲一つなくて、逆に汗だくで暑いくらい。そんな中で撮影を続けたのだけど、「こんな天気で陸の撮影もう1日はきついね」と同じガイドに言うと「うん、快晴にし過ぎたから、明日は少し過ごし易い天気にするって、白魔術師たちが」と、また遠い目をして言うのだ。
「本当、何言っちゃってるの?お前の頭がいっちゃってるの?」と思いながら翌日を迎えると、空には薄雲がかかって、丁度過ごし易いコンディション。風も穏やかに吹いていた。だからって、遠い目をしたガイドの発言を信じたわけではなかった。しかし、その後、信じてしまってもいいのかなと思うような、決定的な出来事が・・・。
その後も見応えのあるヤップダンスのお披露目が続き、2日目の催しもほぼ全て終わり、関係者のお偉方のスピーチになった頃に、皆が慌てて引き上げ始めた。単純に興味が無いだけだと思っていたのだけど、そのとき、そのガイドと仲の良い、島の植物などを使って伝統的な医療を行なう薬剤師に出会った。医療というよりは、医術かな。
彼も雨を降らせないようにしている白魔術を扱う一人なのだと言う。「あれ、飲んじゃってるよ。雨降っちゃうね」そうガイドが指差す先には、薬剤師の右手にある、飲みかけのペットボトルの水。
「我慢できなくて飲んじゃった。早く帰った方が良いよ。土砂降りになるから」と笑いながらその薬剤師は言うのだ。私が「ははははは」と笑っている側から、大粒の雨がポツポツと。そして、数分後には、信じられないくらいの土砂降りになってしまったのだ。
「うそだろ〜」私はその辺でもぎ取った、バナナの葉っぱを傘代わりに、空き地に停めてあった、ガイドの車に飛び乗った。
嬉しそうに私を見ながら、「ね」。そう一言だけ言って、土砂降りの中、泥道をノロノロと車を走らせるガイドの誇らし気な顔が、今でも脳裏に焼き付いている。ちなみに、このガイドは日本人だ。
ヤップは、観光的目的のために伝統を残しているだけでなく、本当の意味で不思議な事が起こるかもしれない島なのだった。こんな事書くと、「そんな事ありえない」と州政府観光局からもクレームが来たりして。
次回のヤップネタの時には、11月頃開催されるカヌーフェスティバルのことを書こうと思う。
ヤップダンスの情報は、ヤップ州政府観光局のオリジナルウエッブサイトをご覧下さい。
ヤップ州政府観光局 http://visityap.jp/

























