【越智隆治】世界最大のサメジンベエザメが300匹も集まる海

世界最大の魚、ジンベエザメはダイバーの間でも一度は会ってみたい憧れの魚だ

ダイバーの間で「一度は会ってみたい海の生き物」と言えば、ダイビング経験本数にもよるけど、マンタ(オニイトマキエイ)とともに、不動の人気を誇るのが、世界最大の魚、ジンベエザメ(Rhincodon typus)だ。最大で体長は13mにもなるが、プランクトンなどを主食としている極めておとなしいサメだ。

体長は、最大で13mにもなるという

自分が初めてジンベエザメと遭遇したのが、いつ、どこの海だったかはもう曖昧な記憶で、タイだったか、西オーストラリアだったか、はたまたモルジブだったかフィリピンだったか・・・・、いずれにしても、マンタ同様に結構世界中の海で遭遇のチャンスがある。

1匹でも遭遇できれば、大興奮ものなのだけど、なんとピークシーズンに、300匹ものジンベエザメが集まってくる海があるという情報を、昨年トンガで知り合ったアメリカのカメラマンから聞きつけて、今年8月、メキシコのリゾート地カンクンの沖にあるムヘーレス島へと向かった。このムヘーレス島も、カンクン同様に、リゾート客でにぎわっていた。

リゾート地、ムヘーレス島は観光客で賑わっていた。ムヘーレスとはスペイン語で「女性」を意味する

何故かこのようなカラフルな頭蓋骨の置物があちこちのお土産やさんで売られていたのが目を引いた

彼が見せてくれたのは、空撮でとらえた無数のジンベエザメが、まるで巨大なオタマジャクシのように水面下をうろちょろしている映像。正直言って(なんじゃこりゃ〜!!)と心の中で奇声を発してしまった。過去に、西オーストラリアのエクスマスでは、セスナから70匹以上のジンベエザメが確認されたことがあると聞いていて、現地に撮影に訪れた事があるが、1個体1個体の距離は相当に離れていた。しかし、その空撮を見る限り、ジンベエザメが海上を埋め尽くしていたのだ。

撮影したカメラマンが、水中で自分撮りすると、その背後に最高ジンベエザメが4匹映っていたと自慢気に話してくれた。(それはちょっと大げさだろう〜)と思いつつも、いてもたってもいられず、私は飛行機に乗り込んで、同島を目指したのだった。

自分でも試しに、ジンベエザメとの自分撮りを試みてみた

しかし、実際に船に乗船して、ジンベエザメたちが集うその場所に向かった僕らの目の前に現れた、信じられないような光景は、まるで生け簀の中に無数のジンベエザメが泳ぎ回っているかのごとくだった。その光景を目の当たりにした瞬間、私は、「なんじゃこりゃ〜!!」と大声で本当に歓喜の奇声を発していたのだった。

船上にいても、このようにジンベエザメが超接近してくれることも度々だった

その状況が写真ではなかなか表現できないのだけど、例えばこんな感じという事で言うと、今、10代から40代の男性の間で、バイブルのよう愛読されている漫画「One Piece」(2011年8月現在で63巻まで刊行され、累計2億4000万部を突破)と言えば、その名前を聞いた事の無い人はほとんどいないのではないだろうか。実は自分も最近、一気に1巻から63巻まで読破した。(最近シリーズ最新刊、64巻が発売されましたね)

友情と夢のために海を生きる若き海賊たちの話は、私たちダイバーにとっても、とても共感のできるもので、先日取材に訪れたパラオでも、そこで働くガイドたちが、夢中になって読んでいた。

まあ、この漫画の説明はともかくとして、このストーリーの中で、魚人類の「ジンベエ」という海賊が登場する。そのジンベエが主人公の海賊、麦わらのルフィたちを大監獄島から脱出させるために、本物のジンベエザメたちを呼び寄せるシーンがある(56巻 第547話“島破り”)。

海中で、何度もジンベエザメたちが、接近してしばらく一緒に泳いだりしたが、マンタのように編隊を組む感じではなく、基本的に好き勝手にプランクトンを補食している感じだった

もし、漫画を持っていたら、探してみて欲しいのだけど、最初にこのジンベエザメの群れを見たときの印象としては、マジでそんな感じだ。

以前からメキシコ湾にシーズンによって無数のジンベエザメが集まってくるというのは、聞いたことがあったが、昔はもっと透明度の悪い湾内だということだった。今回のこのジンベエザメの群れは、相当外洋を探しまわって見つけるスタイルで、4年ほど前から話題になってきたのだと言う。何故これほどの群れが集まってくるのかは、当然、大量のプランクトンが発生していて、それを補食に集まってくるわけだけど、何故これほどまでに集まってくるのかが疑問だ。

大口を開けて、補食に泳ぎ回るジンベエザメの姿は、水中写真を撮る者としては、一度は撮影しておきたいシーン。しかし、ゆっくり泳いでいそうで、案外追いつくのが大変なペースで泳いでいるので、なかなかタイミング良く正面に回り込むのは難しいのだけど、この海では、1匹が泳ぎ去ってしまっても、また次のジンベエザメが次から次へとやってくるので、同じ場所で顔を水面に出して待っていればそれで良いという、至極楽で幸せなジンベエスイムを体験することができた。

プランクトンを捕食するために、大きな口を開くジンベエザメ

来年もまた、少人数で乗り込めるボートをチャーターしてこの海を訪れるつもりでいる。もし、この撮影のためのボートチャーターに興味のある方は、INTO THE BLUEお問い合わせからご連絡ください。

ボートのスクリューで、背びれがギザギザにされたジンベエザメ。このような傷を持つ個体を何匹か目撃した

越智隆治(Ochi Takaji)

越智隆治(Ochi Takaji)

産経新聞写真報道局を経て、1998年フリーの水中写真家に。世界中の海で、海洋ほ乳類など大型の生物を中心に撮影を行っている。著書多数。Underwater web magazine ocean+α(http://oceana.ne.jp/)代表。個人のHP、INTO THE BLUE(http://takaji-ochi.com)では、イルカ、クジラ、アシカなどの撮影旅行も開催している。

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