【越智隆治】 50匹のマンタが群れる! パラオのぐるぐるマンタ


世界のダイバーの憧れの海、パラオ。人気のダイビングポイント、ブルーコーナーを要するこの海は、取材で潜りに訪れる度に、いまだに計り知れないポテンシャルを持っていると感じることが多くある。

ダイバーに人気のブルーコーナー。巨大なナポレオンもこんなに近くで見れる

今回は、その中でも最新の情報。


近年、美しい景色が人気で、ダイバーだけでなく、リゾートを楽しむ観光客も増えている

パラオのジャーマンチャネルというダイビングポイントで、マンタが高確率で見れることは、以前からダイバーの間では有名な話だ。しかし、最近増加するダイバーに対応するために、マンタを見る地元のルールが厳しくなり、以前のように近くで自由に見ることが難しくなってきた。

ジャーマンチャネルの浅場を移動するマンタを見守るダイビングボート

自然環境保護の観点から、ダイバー人口が増え過ぎて起こるマンタへの弊害を考えると、仕方ない事なのかもしれないが、やはり写真を撮る立場からすると、「遠目に眺める」だけでは、満足できないのが正直なところだ。

そんな思いを持つのは、私のようなカメラマンだけでなく、ゲストに少しでも良いものを見せたいと思うガイドの中にも同じ考えを持つ人は少なくない。そんなガイドたちが、パラオの海を開拓して、新たな発見をしていく原動力にもなっている。

ユウカクチャネルは、人気のポイントが点在するパラオの南西エリアから離れた、北西エリアにあるポイント。ジャーマンチャネルでマンタの出ないシーズンには、このマンタ狙いで訪れる事が多かったが、他にめぼしいポイントが無いので、それ意外では潜りに行くことの少ないエリアだった。

しかし、最近、そのユウカクチャネルで50匹はいるマンタが水面下で捕食をしているという情報から、リサーチを行い、この捕食マンタ狙いで撮影に訪れた。

リサーチを進めていた現地ダイビングサービス「デイドリームパラオ」のガイド、遠藤学さんによると、様々な条件を満たす事で、この大捕食が発生するらしいのだが、リサーチで訪れた時の、過去の遭遇確率は今のところ3割程度と低い。それでも、この瞬間に遭遇したときの感動は忘れられない。

プランクトンを捕食する魚のむれに突っ込んできた、マンタの群れ

広く口を開けるユウカクチャネルの外洋に「ナブラ」と呼ばれる、魚の群れがプランクトンを捕食しに水面まで上がってきたときに立つ、さざ波の周囲に見え隠れする白い影。

それは、マンタが上下に回転しながら、プランクトンの捕食を行なっているときに、水面側に見せる白い腹部だということはすぐにわかった。

早速海に飛び込むと、少し濁った海の向うから、ワラワラとマンタたちが姿を見せて、こちらに向かってきた。プランクトンが多く集まる海域を目指して、編隊を組んで移動する。そして、その海域に到達すると突然旋回を始め、大口を開けて、ぐるぐると回転しながら捕食を行なう。しかも最大50匹!

ジャーマンチャネルでもこの捕食シーンは見られるが、最大でも十数匹なわけだから、50匹もの大群になると、確率が低いとはいえ、是非一度は見てみたい圧巻のシーンだろう。

これだけのマンタが群れる海は、他にモルジブくらいしか知らない

パラオで見れるマンタのほとんどが、ナンヨウマンタと呼ばれる定住性のあるマンタ。現地ダイビングサービスでは、このマンタの個体識別調査なども行なっていて、今現在120個体程が確認されている。ジャーマンチャネルとユウカクチャネルの両方で確認されたマンタは、今現在3匹だけだそうだ。

これからのリサーチで、さらに遭遇確率を上げて、少しでも多くのダイバーに、この大迫力のシーンを見てもらえればと思う。ジャーマンチャネルのように、規制が厳しくなる前に。

取材協力
デイドリームパラオ http://daydream.to/palau/

アクアマジック http://www.aquamagicpalau.com/


越智隆治(Ochi Takaji)

越智隆治(Ochi Takaji)

産経新聞写真報道局を経て、1998年フリーの水中写真家に。世界中の海で、海洋ほ乳類など大型の生物を中心に撮影を行っている。著書多数。Underwater web magazine ocean+α(http://oceana.ne.jp/)代表。個人のHP、INTO THE BLUE(http://takaji-ochi.com)では、イルカ、クジラ、アシカなどの撮影旅行も開催している。

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